ペリフェラルのパラレルワールドの仕組みが面白かったので、少し調べたりしたことをまとめておきます。だいぶネタバレ情報も入ってるので、ドラマを見終わってから見るようにしましょう。
パラレルワールドとタイムトラベル
ペリフェラルでは過去の世界と未来の世界がアクセスするのですが、これはタイムトラベルでは無く、パラレルワールドで実現されています。
なんでパラレルワールドで過去と未来が?という気もしますが、まずはタイムトラベルとパラレルワールドの違いから。
タイムトラベルとは
「タイムトラベル」は「通常の時間の流れから独立して過去や未来へ移動すること」で、映画などの作品で使われてきたが、科学的には問題が多く実現できないとされているようです。
実際に未来や過去に物質が移動するのはちょっと作り話すぎるというのもあり、わりと増えたのが「タイムリープ」で「自分自身の意識だけが時空を移動し、過去や未来の自分の身体にその意識が乗り移る」というもの。
タイムリープはスピリチュアルな感じがあるせいか、あってもおかしく無いんじゃないか?という気がしてきます。
ちなみにタイムトラベルで過去の事象を改変した場合、現代に影響があるので矛盾が起こることがありますが、それをタイムパラドックスと呼び、例えば過去にタイムトラベルして両親を殺すとどうなるのか?などの矛盾が起きるわけですね。
タイムトラベルの作品としては「ドラえもん」「ターミネーター」などが思いつきますね。タイムリープは「僕だけがいない街」「東京卍リベンジャーズ」あたりでしょうか。
Category:タイムトラベルを題材とした作品 - Wikipedia
パラレルワールドとは
一般的に「パラレルワールド」と言うと「ある世界から分岐し、それに並行して存在する別の世界」ということで、同じ世界なのに歴史が違ったりという形で映画などで扱われていました。
それが、タイムトラベルにおけるタイムパラドックスの矛盾をパラレルワールドで回避するようになってきたようです。
過去に戻ったわけでは無く、現実の過去から分岐したパラレルワールドに行ったということであれば、その世界で何をやっても元の世界には影響しないというわけですね。
これで過去の両親を殺しても、自分は消えずに存在することができます。
また、タイムトラベルは科学的には実現できない概念ですが、パラレルワールドは量子力学で研究されてたりするようです。
ペリフェラルにおけるパラレルワールド(スタブ)とは
実際にパラレルワールドが存在するとしても物質が移動するというのは無理があるので、ペリフェラルではパラレルワールド間は量子トンネルで情報の伝達だけが可能ということになっており、より現実的な感じです。
情報の伝達というとわかりづらいですが、実際はインターネットの通信として表現されているのでイメージしやすいです。
そして、普通なら主役が過去のパラレルワールドへアクセスするというストーリーとなりそうですが、ペリフェラルでは主役のフリンはパラレルワールド側の住人という発想がとても面白いですね。
情報の伝達しかできないけれど、ペリフェラルというアバターを操作することでパラレルワールドで動き回ることもできる。ただし通信を落とされると落ちるし、トイレや食事を考えると長時間はいられない。
これまでのタイムトラベル物と比べるととても現実的で面白く、William Gibson がSFの新しい世界観を創り出したと感じました。
この世界観であればアナザーストーリーはいくらでも作れそうです。
ガンダムシリーズのように、William Gibson 以外でもスタブとペリフェラルを使ったストーリーを作れるようにできれば壮大な歴史ものができあがりそうな気がします。
ペリフェラルのパラレルワールド(スタブ)
スタブとは何か
ペリフェラルではリサーチ研究所にスタブ(パラレルワールド)を作る技術があり、2096年に68年前の2028年を切り出したスタブを作成しているようです。
元の世界を木の幹と考えて、そこから伸びた枝(スタブ)というイメージですね。
元の世界もスタブも時間は流れて行くので、主役のフリンのいる2032年ではアクセスする未来(元の世界)は2100年というわけです。
元の世界から枝分かれしたのがスタブではありますが、元の世界とスタブがパラレルワールドとして同時に2つ存在していると考えれば良いでしょう。
元の世界とスタブ間での通信
リサーチ研究所にはスタブを作るだけでなく、スタブと通信をする技術もあります。
ドラマの中では第2話でウィルフがスタブのことで『量子トンネルで接続して情報だけやりとりができる』というような説明をします。
スタブの世界ではインターネット通信で元の世界と通信ができるようになってます。
そもそもリサーチ研究所がスタブを作って量子トンネルで接続して、スタブの世界でいろいろな実験をやってるわけですが、フリンがペリフェラルに繋ぐ量子トンネルはズボフの元でアリータが作った量子トンネルです。
量子トンネルはインターネットの世界でネットワーク間を繋ぐルーターのイメージですね。
元の世界からスタブへ量子トンネルを張るには接続する技術があるだけではダメでスタブの座標が必要となるため、リサーチ研究所にいたアリータがズボフの元で量子トンネルを作ったということです。
元の世界とスタブ間で通信ができると何ができるか
量子トンネルがあるとインターネット通信ができるので、インターネット通信でできることが全てできるようになります。メール、電話だけでは無く、デバイスを使って遠隔のペリフェラルを操作することもできるというわけです。
書いてて思いましたが、ペリフェラルの操作では、リアルタイムで全身を動かす情報を送って、ペリフェラル側の視覚、聴覚、触覚などの情報を受け取らないといけないので、かなりの情報量となりますね。
現在の一般的なPCのLANケーブルは1000base-Tで最大1Gbpsですがインターネット通信は通常もっと遅いですね。2032年にPCもインターネットも10Gが一般的になってれば大丈夫かも。
ウィルフ達は実在しないミラグロス・コールドアイアン社を作ったり、フリン達に大金を送ったり、リサーチ研究所も殺し屋を雇ってフリン達を殺そうとしますが、インターネットであれば、どこかのサーバをハッキングして情報操作したり、仮想通貨などでお金を増やしたり、お金があればダークウェブで人を雇ったりできるので、未来の知識と頑張りがあれば無理では無さそうです。
元の世界とスタブ間で通信ができてもできなさそうなこと
ドラマではペリフェラルへ接続するデバイスの情報や薬を調合する情報を送って、3Dプリンタや薬局などで作成していました。
実際はデバイスは多数のセンサーやICチップが必要だと思われますが、現在存在する材料だけで作れるとしてもセンサーやICチップを注文して届いたら組み立てる必要がありますし、制御するプログラムを入れる必要があり、データを送るだけで3Dプリンタでデバイスを作れるというのは現実的では無いかなとは思います。
薬も詳しくはわからないですが、薬の分子構造を送ったとしてもそれが作れるかというと現実的では無い気がしますね。それができるのであればダイヤモンドでも作れるということですからね。
ペリフェラルのザックリの年表
最後にペリフェラルのザックリした年表を書いておきます。
横軸を本当に数字に合わせて書くとかなり間延びした感じになるので幅のサイズは気にしないでください。笑
あと、だいぶネタバレなのでドラマを見終わってから見るようにしましょう。
「ペリフェラル シーズン2」の状況
2022年秋に公開された「ペリフェラル」はとても人気だったので、2023年2月にはシーズン2の制作が決定され、2024年公開に向けて撮影が開始されてましたが、7月に始まった全米のストライキの影響で打ち切られることが決まったそうです。。撮影の遅延で費用が大幅にオーバーするので早めに損切りするということなんでしょうね。
今のところ続きを知りたければ英語の原作小説を読むしかないんですね。。せめて日本語版が販売されるといいのですが。。
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